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小説「DTOPIA」を読んだ感想

2025年3月7日
読了目安時間: 2 分 (約 921 字)

小説を読む習慣がないことを懸念していたため、とりあえず芥川賞や直木賞の受賞作品を読もうと思い、2024年下半期の芥川賞受賞作品「DTOPIA」を手に取りました。

DTOPIA :安堂 ホセ|河出書房新社

DTOPIAとは「デートピア」と読みます。作中に登場する恋愛リアリティショーのタイトルで、舞台もその番組の撮影風景から始まります。恋愛リアリティショーが舞台の作品なんて読んだこともなかったのでこの時点で結構新鮮でした。

文体にも特徴があり、二人称として「おまえ」が使われます。読み手もこのDTOPIAに参加している設定ですが、なぜかひたすら「おまえ」と呼ばれるのでどういう気持ちで読めばいいのか、戸惑います。

その上で、冒頭の恋愛リアリティショーの話も実は途中から完全に無視され、主人公とその友人の過去の話になります。これがこの小説の大半を占める上に、妙に暴力的で意図が掴みづらい内容が続きます。どうやら人種や性的指向や暴力など様々なテーマについて取り扱いたいということだけは伝わってきます。

最終的には改めて恋愛リアリティショーの話には戻りますが、「なんだったんだろう……」という気持ちで読み終わりました。読み手を選ぶというか、正直なところ個人的には別に面白くはなかったです……。

気になって以下のインタビューを読んでみたところ、一応意図は伝わってきて一旦納得はできました。

ここ数年の特徴として、小説に限らないんですけどディストピアものがすごくはやっていて、それを読んでいるときに、「今回はこの本ではこの問題だけについて考えてくれればいいですよ」と言われているような窮屈さみたいなものがありました。実際、世界はいいことも悪いことも起こっているし、極端に悪いことだけ起こっている世界というのはないんですよね。○○問題、△△問題と言われているものもつながっている、連動していくことを見せたかったので、例えば中編小説であるような1つの問題に特化した小説の作り方とか、1人の極端な人物を肖像画を作るみたいなかたちで小説を作っていくのとはまた別の書き方に挑戦しました。

第172回芥川賞受賞! 安堂ホセ著『DTOPIA』|読むらじる。|NHKラジオ らじる★らじる

今回この小説は妙に読みづらかったということを同僚に伝えたところ、芥川賞受賞作品はそういうものかもと言われたので、この後は本屋大賞の受賞作品を読んでみたりしました。その話はまた別記事に書きます。